キングフィルム・プレゼンツ

その話を彼から聞いたのは、昨年の秋くらいのことだったか。

今、なぎ食堂のスタッフは、気付くとミュージシャンばかりになっちゃったのだけれど、その中でも持ち前のスキと無駄の多さでツッコミがいがある男に、王舟ってヤツがいます。 もちろん、ミュージシャンとして、最近頑張ってるらしい……と書くのは、まだ俺は生で彼の演奏を見たことがなくて、バイトでぼんやりと働いている彼とちょっとイカしてるCDで聴く彼は別の人間と疑っている。んでもって、そんな彼が、去年あたりから自分の音楽と別にやろうとしていることがちょっと面白い。

誰でも映像を作れるこのご時世に、自らの企画で音楽家の映像を創ろうと思い始めた。彼のファミリーネームが「王」だから、その名も「キングフィルム」。 ただ、このキングフィルムを興したからといって、彼がカメラを持って撮影したり、ストーリーを書いたりしているわけじゃない。というか、カメラも持ってないし、台本すらない。ただ、彼がやってることは、「とにかく、面白いと思う人を集めて出会わせたいんですよ。それで、そこから何かが生まれてくるかもしれないから、それが楽しみで。いや、何も起こらなくてもいいんですけれど、そのときは……(延々)」。つまり、スタッフもカメラマンも外部から探してきて、撮影されるのも自分じゃなくって。ただ、そこで初めて出会った人たちの衝突を捉えたい、ということのようだった。正直、その話を初めて聞いたときは、「うーん、それって面白いか? というか、そんなに簡単に何かが起こったりするのか?」と思ったりもした。でも、ね。何とかかんとか、すべて手弁当で半日がかりで撮影が行なわれ、そしてその映像がYoutubeにアップされた模様。その映像を見たとき思ったんだ。あ、ちょっとだけかもしれないけれど、マジックが起こってるやん、と。

出演は、今話題のceroの高城さんとシャムキャッツの夏目くん。お互い顔は知っていたけれど、こうしてちゃんとした形で向き合ったのはこの日が最初だったらしい。そのせいか、お互いが目を少しだけそらしながらコミュニケーションを取っている感じが、なんだかとても素敵だ。また、高城さんのホームでもある素敵なカフェrojiを舞台にしているがゆえの寛いだ感じもいい。

また、この映像は、デジイチの動画機能だけで撮られたとのこと。わぁ、そのレベルのコンシューマー機材でこんなに明るい映像が撮れるんだ、と、昨年子供の運動会&七五三用に買ったEOS 550Dで俺も動画を撮り始めちゃいましたよ。そんなふうに、何かをやらせたくなるような力がこの映像にはあったりするのではないか、と。

また、このシリーズはしばらく続くようで、来月頭には第二弾の撮影も控えているとのこと。どうやら、次は某食堂で撮影が行われるとの噂。

キング・フィルム自体のメイキングフィルムを 作りたいなぁ、そう思わせる心地良い映像でした!