レイチェルとICHIくんのライブ

今日、ポストした名古屋繋がり……ってわけじゃないけれど、ICHIくんっていうミュージシャンが名古屋にいる。初めて彼を見たのは、鶴ロックでののうしんとうのライヴの時だったっけ。その容姿から「只者じゃない」オーラを出してるのうしんとうの面々の中で、ひとりポツンのにこやかな表情で朴訥に言葉を選んで話しかけてくれる島崎栄一(ICHI)くんは、その後のうしんとうの入り口としても何度かお世話になったりもした。で、ettのケイくんから「えいちゃん(ICHI)のソロアルバムを出すんですよ」と教えてもらった。あぁ、ソロも作ってるんや。で、聴いた。これは……と言葉にならないほど驚いた。のうしんとうのダブ担当だったから、もう少しドープで怪しげなものが来るかと思ったら、最高にファニーで最高にやさしい音楽がそこには詰まっていた。あぁ、彼の優しい表情そのまんまが音楽になってるなぁってその時思った。

その後、島崎くんから「東京でライヴしたいんですけれど、どこかないですか?」と訊かれ、円盤を紹介した。実際、俺は音源は聞いていたけれど、ライヴは一度も見てなかった。丁寧に多重録音で重ねられた(とその時思っていた)そのサウンドを一人で再現することはまず難しいだろうなぁ、シーケンサーとか使うのかなぁ、どうなのかなぁと思いつつ、「車で機材全部持って行きますから」と言われ、「あれ、機材って何だ?」と思った。で、円盤のライヴは、その対バンとしてちゃんとせなあかんと思い、トクマルシューゴ、asuna、植野隆司(テニスコーツ)らに出演してもらった。今考えたらすっごいメンツなんだけれど、その日の実客20人以下(大笑)。いやぁ、ひどいなぁ。ごみんなさい。その後、トクマルくんはo-eastのライヴでICHIくんを招いてくれたね。あそこだったら、竹馬もし放題でよかったねぇ!

でも覚えてるのは、島崎くんが木琴を含むあのワンセット(ライヴを見た人は分かるよね!)を組み立てるのを円盤田口くんを含みみんなで見てた。で、1曲……そこにいた全員がユニゾンでため息のような声でつぶやいた。

「うゎぁ、かっこいいいい〜!」

あの多層に重ねられたサウンドは、カセットからのトラックはあったりしたものの、ほとんどリアルタイムに演奏されてるものだった。もっと驚いたのは、完全にエフェクトで作られてると思っていたチップマンクス的な歌声が、何の変調も施してない島崎くんの歌声だった。うあぁ、すげぇ。で、その日は島崎くんの楽しい空気に満たされて、すべてが素敵な音楽になった素晴らしい日だった。

その数年後、島崎くんが日本でも共演してたレイチェル・ダッドと共に海外でツアーをするって話を聞いた。もちろん、とっても素敵な噂話も一緒に。また、島崎くんは音楽もいいけれど、実は作家としても映像や小物等いろいろ作ったりしている。確かmama! milkの祐子ちゃんのこの映像も島崎くんの作品だったはず。あと、ウチの子供のために、小さな手作りのアクセサリーもくれたなぁ。あれ、今でも大事に持ってます。

そんな彼が、ずっとウェルメイドな作品を作り続けてきたレイチェル・ダッドと気持ちが通じ合ったのは運命だったんだろうなぁとつくづく思った。一度、2人そろって店に遊びに来てくれたんだけれど、本当に2人とも子供のような可愛さで、ご飯を嬉しそうに食べながら語り合ってる感じが素敵だった。

今は日本とイギリスの両方を生活の棲家にしている2人。 で、最愛のパートナー、レイチェルさんのソロ・アルバム『バイト・ザ・マウンテン』が久々に届けられた。これまではディスクショップゼロっていう最高のレコ屋&レーベルから日本発売していたんだけれど、今回はお仲間、福田教雄のsweet dreamsからのリリース。この作品、音楽的にはこれまでの作品とそう大きくは変わっていない。ただ、なんだろう、この幸せな空気感は。元々無理のない、嘘のない音楽を聴かせてくれていたレイチェル・ダッドだけど、今回は何か「満たされた感」がいっぱい。言葉がわかればもう少し楽しめるんだろうなぁって思うような瞬間もありつつ、現在の生活が旅の中にあるような彼女の時間がちゃんと記録されている。

そういえば、最近彼女が気に入ってるレコードっていうのが、ベラ・フレック(俺のティーンエイジ・アイドル!)の『Throw Down Your Heart』だって話を聞いた。このレコード、15歳でプロデビューした天才バンジョー奏者として知られるベラ・フレックが、フレックトーンのような先鋭的なサウンドではなく、バンジョーのルーツと思われてるアフリカを旅して、彼の地の音楽家たちとコラボレートした作品(そのドキュメンタリー映画もあり)。これ、映画見たいなぁってずっと思ってたんだけれど、日本じゃやらないよねぇ。

『Throw Down Your Heart』は、他のベラ・フレックの作品とはまったく違うもの。自身の音楽的ルーツを確かめるための旅を記録したものであり、その「旅の途中」の感じがまた素晴らしい。日本とイギリス、その2つの場所を行き来しているレイチェルさんの現在と何かしらリンクするものもきっとあったんだろうな、と思ったり。

そんなレイチェル・ダッドとICHIくんのライヴツアーが明日から始まる模様。なんかいろんなところでやるなぁ(笑)。いいなぁ、楽しそうだなぁ。

詳細は、sweet dreamsのブログをチェーーっく!  20日の立川セプチマとかオススメですよ。いい空気のいい場所だけに。残念ながら、俺はその日はちょっとどうしても外せないライヴを見に行かねばなのでお休みさせていただきます。すまぬ。あと前回彼らと日本を回ったイギリス系の女性SSW(名前失念)のCD-Rも良かったなぁ。福田くん、あれ出さないの?

今年の冬も、日本中にあの幸せな音楽たちが振りまかれると思うと、それだけで、なんだか嬉しい。